はいどうも、こんにちは!秘密基地ひろしです。
こんなところから失礼します。ケムール星人みたいでしょ。
なんでそんな下らないことをやっているかというと、今日は雨でやることないんです。
現在、うちのSR400ファイナルエディション、通称SR2号はメッキ部品の防錆処理中で、結構部品が外れています。
錆と云えばSRで有名なスイングアームのピボットの錆は大丈夫だろうか?まだ納車されて2か月だけど。
錆も気になりますが、そもそもヤマハがイニシャルでどれぐらいグリスを塗っているかバラして確認することにしました。
リア回りの部品が良い具合にバレているので、普段は外すのが億劫になるスイングアームですが外し易いです。
今回はヤマハが出荷前にどれぐらいグリスを塗っているのか、そしてメンテとしてどれくらいグリスを入れれば、実際にどれぐらいグリスが行き渡っているのかスイングアーム外して確認していきます。
スイングアーム外します
スイングアームを外していきますが、古いバイクなので楽チンです。これがモノサスだったら結構大変です。
スイングアームのピボットは中を貫通させたシャフトの両端をナットで104Nmで締めてあります。結構高めですが簡単に緩められるレベルではあります。(150超えてくると大変ですから)
ナットを緩めるとワッシャがありますので失くさないようにするのがポイントです。
あとはただシャフトを引き抜くだけでスイングアームが外れます。
しかし、これが錆びると何をやっても抜けないないらしく、最終的には切断して違うスイングアームを持ってきて付けるようです。恐ろしい~。
シャフトを抜いてみると、表面がまあまあグリスでべたついています。
次にシャフトの両端に付いているキャップボルト外します。
このシャフト両端の穴はツールボックスの裏に静かに設置されているグリスニップルを付けてグリスアップする為のものです。
初めて外したのですが、穴の中には何もなく、ヤマハはここから最終的なグリスアップはしていないみたいです。
まあ、それはどのメーカーもそんなもんですから、あまり目くじらは立てません。でもせめて最初にグリスニップルからグリスを満充填しておいてくれれば、不幸な切断に会うスイングアームも少なかったように思います。
実はこのシャフト両端の穴、深さは70mmぐらいで左右は貫通していません。貫通してればグリスアップし易いと思われがちですが、中のベアリングやカラーの内外にグリスが回らなくなるので、貫通していないことは重要なんです。
では実際にグリスアップするときはシャフトの片側にグリスニップルを付けてグリスを充填していく訳ですが、どこからグリスが出てくるかというとシャフトの横にΦ2の穴が空けられており、ここからグリスがシャフトの外に出てきます。
目論見としてはシャフトの両側のキャップボルト取って、グリスニップル付けてグリスガンでグリスを充填していく訳ですが、中を充填して反対の穴から出てくれば充填完了です。この状態で中のグリスの付け回りの状態を確認します。
実際にスイングアーム外します。
白い樹脂カラーが左側に入っていますが、これはチェーンがスイングアームを傷付けないようにする為のガイドです。簡単に取れます。取付けるときの向きは無いようです。
さあここからが本番です。
スイングアームのピボットの両端は銀色の金属カバーが付いています。これを外すと中にはスラストベアリングが入っています。
スラストベアリングはラジアルベアリングと異なり、軸方向の荷重を受けます。締め上げちゃうと動けなくなるので、スイングアームはフレームの内幅に対して最大1mmまでの隙が確保されています。スイングアームは概ね軸と垂直方向の荷重を受ける訳ですが、横方向(軸方向)にも荷重は受けますので、その荷重をピボット両端に入れたスラストベアリングで受ける訳です。
更にこのカバーの中にはオイルシールがあり、中に水や埃が浸入しないようになっています。このオイルシールなんですがよく見ると組付け方向があります。外周に防水、防塵の為のリップが3重に付いていますが、リップ先端が車体内側となるようにします。こうすることで外からの水の侵入を防ぎます。
次にスイングアームのピボットの中からカラーを抜き出します。構造としてはこのカラーの中にシャフトを貫通させ、両側からナットで締め上げることでスイングアームを保持しています。当然スイングアームは両端に付いているスラストベアリングとこれも両端の中に圧入されているニードルローラーベアリングでスムーズに回転出来るようになっています。
このカラーをよく見てみると両端の横にそれぞれΦ3の穴が2個空いています。先ほどのシャフトの横穴から出てきたグリスがここを通ってカラーの外にでて、ベアリングに行き渡り、更には反対側まで充填されて、最終的には反対側の穴から出てきます。
この穴同士の位相を合わせることは難しいのでカラーの中に鉢巻き溝が掘ってあり、シャフトから出たグリスはこの溝を通ってカラー穴から外に出てきます。
しかしですよ、なんと中を覗いてみるとその鉢巻き溝に小さな錆が出ています。これはショックです。まだ買って2か月で洗車以外に塗らしたことがないのに何でこんなことに!
実はスイングアームの端部にはオイルシールがありましたが、フレームの外側でシャフトを締めているナットにはシールが無いので、ここからシャフトを伝って水が中に入り、カラーの鉢巻き溝に溜まって錆びたようです。
初期錆を防ぐ為にはヤマハが出荷前にグリスニップルから満充填する必要があると思います。でないとユーザーは納車当日、走り出す前にグリス充填をする必要があります。納車整備料を取るバイク屋さんがありますが、グリス充填は対象外で別料金になると思います。話がちょっと酷過ぎますね。
でもまあヤマハを責め立てたところでどうにもならないので、古い設計だと理解してメンテしていくんでしょうね。
グリスニップルなんて、まあ令和では滅多にお目に掛かれないものが立っているということですので、見つけ次第グリス充填せよ!の合図ですから、早め、そしてに定期的に面倒見るしかないですね。
グリスアップしてみます
次に実際にシャフトの反対側までグリスが出てくるまでグリスアップしてみて、その状態でどれぐらいグリスが行き渡ってるか見てみます。
スイングアームを復元して、ちゃんと規定トルクの104Nmで締付けます。
そして、どちら側でも良いですが、今回はスイングアームのシャフトの右側にグリスニップルを付けて、ここからグリスガンでグリスを注入していきます。もちろん左側のキャップボルトは外しておきます。
シャフトの左側の中心穴からグリスが出てきたら充填完了です。
再度バラしてみます
まずはスイングアームのシャフトを抜きます。シャフト全体にグリスが行き渡っています。さっきは空っぽだった左側の穴にもグリスが詰まっています。
次にスイングアームの右側のカバーを開けてみます。ここにはスラストベアリングが入っていますが、グリスがバッチリ流れ込んでいます。グリスは途中、スイングアーム内部に圧入されたニードルローラーベアリングを通過してここに来ていますので、そちらの充填もバッチリです。
左側のカバーも開けてみます。右側ほどではないですが、ちゃんとグリスが来ています。
最後に中のカラーを抜きますが、抜けないほどに中にグリスがビッシリ詰まっていますので、グリスの行き渡りは十分なようです。
当然左側のニードルローラーベアリングも通り道ですので、ここもOKです。
まとめ
SR2号は買ってまだ2か月で、320kmしか走ってないので新車に近い状態と言えます。
その状態をバラしたところ、ヤマハでは必要最小限のグリスを塗っていました。
でもカラーの中の段差は錆が出ていましたので、洗車程度の水でも中に侵入して錆が発生するみたいです。
防止策はあって、それはスイングアームのピボットの中をグリスで満たしてしまうことです。ですから購入したら一刻も早くのグリスアップを推奨します。
グリスアップのやり方はまずはシャフト両端のキャップボルトを外します。
次にツールボックスの蓋の裏に付いているグリスニップルを取り外して、どちら側でも良いのでシャフトに締付けます。
そしてグリスガンを使ってグリスニップルからグリスを充填します。ここで使うグリスは一般的かつ万能と言われているリチウムグリスで良いと思います。
グリスを充填しているシャフトの反対側からグリスが出てきたら充填完了です。
この状態で中はほぼ100%グリスが行き渡ることを確認してあります。
ところでグリスの充填は結構時間が掛かり、こんなにも入れるのと思うほど充填していきますので、心構えが必要です。
今回は以上になります。
ご覧下さいまして、ありがとう御座いました。
次回の記事でお会いしましょう!
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