はいどうも、こんにちは!秘密基地ひろしです。
今回はヤマハSR400のマフラーの脱着についてお送りします。
「今更マフラーかよ~」という声も聞こえてきそうですが、今後、リア回りの整備情報をお届けする為には避けては通れない基本情報になります。
また、こんな簡単な部品でも、脱着のノウハウは沢山ありますのでご紹介しておきたいと思います。
工具紹介
まずはマフラー脱着の為の使用工具を紹介します。
12mmのソケットレンチはエクステンション不要です。それから17mmのメガネレンチ。
トルクレンチは140Nm、45Nmまで測れるものを2丁用意しています。
マフラーは私が勤めていたカーメーカーの品質基準では一般締付扱いということもあり、この手の部分は実は私、いつも締付後のトルクチェックはやっていません。
トルクレンチを使わないことを推奨するつもりはありませんが、トルクレンチが無いと整備してはいけないというのも只、自己メンテナンスのハードルを上げるだけですので、もしご自身で試される場合は技量に応じてご準備下さい。
それでは取り外します
まず最初にマフラーの中央左側のゴムダンパーで取付けられている部分を外します。
この部分を外す場合、社外マフラー用センタースタンドストッパーを取付けるゴムダンパー上側部分を外したくなりますが、このナットを外してもボルトが右側に抜けないので、ここは我慢をして順番に下側を外します。
使用する工具は12mmのソケットレンチになります。
ここのM8のボルトを外すとワッシャが入ってますので失くさないように。それからゴムダンパーの方はカラーが入ってますが、右側に鍔があるので左側には抜けません。マフラーを外した後は落ちることがあるので注意が必要です。
次にマフラーとエキパイのジョイントクランプを緩めます。使用する工具は12mmのソケットレンチです。
ここは全部外す必要は無いので、クランプが緩くなって空回りする程度でOKです。
最後にメインのラバーマウントを外します。
ここは対辺17mm、M12のボルトが60Nmとそれなりの締付トルクで締まっていますから、工具が外れて怪我をしたり、力が入れ難くて腰など痛めぬよう、適切なメガネレンチ等で緩めます。
トルクレンチで緩めるのも負担が少なくて楽です。
このボルト、緩めていくときに注意して見て頂きたいのは、マウントとフレームの間にワッシャを挟んでいることです。知らずに外して知らずにワッシャが落っこちるとその存在すら分からなくなります。また落ちているのを発見してもどこに付いていたのか分からなくなります。
ここでポイントですが、ここのラバーマウントをよく見て下さい。ゴムダンパーの車体左側は内筒と外筒が同じ高さですから、このまま取付けると外筒がフレームに当たってダンパーの役割をしなくなります。そこでゴムダンパー本体をフレームから浮かせる必要があり、フレームとダンパーマウントの間にワッシャを入れているんだと構造から理解すれば、ワッシャの取り付け位置も分かりますし、他の部分でも応用出来ます。
更にチェックポイントですが、外したボルトをよく見て下さい。ネジ山に青い樹脂が乗っているところがあると思います。
これはネジロック剤になります。ヤマハとしては60Nmで締めるだけでは不十分と考えたようで、締付ける際に塗布されています。
青いネジロック剤は中強度のもので大体24時間で硬化します。ボルトを緩めるときはネジロックされている分、力が必要ですが強引に緩められます。
因みに赤いネジロック剤は高強度型で基本的に分解しないボルトに使われます。緩めるときはドライヤー等で温めてからでないと緩み難いです。
バイクの場合、分解整備が前提なので、赤いネジロックが使われていることはそんなに無いと思います。
ここのボルトが外れれば、マフラーを後方に引き抜いて外します。
今度は取付けです
ここでも整備のポイントがあります。
部品を付ける際は、全ての締付点を仮止めしたうえで、重要な部分から順に本締めしていきます。
部品の取付けにはガタがありますから、取付けた順に締めていってしまうと、残った締付穴で全てのズレ分を負担することになるので、そもそも締付が合わないですし、強引にこじって締付けても内部応力が残ってしまい異音発生等の障害を起こすこともあります。
まずはマフラーをエキパイに挿入します。
次にメインのラバーマウントのM12ボルトを仮締めしますが、先程のワッシャをラバーマウントとフレーム間に入れなければなりません。
こういう作業は手が三本要る作業といわれており、バイクや車の開発の中で淘汰されるべき悪しき設計です。
SRは古いバイク設計を改修しながら生き延びてきたので、ヤマハの工場では一体どうやって付けてるんだろ?という部分が散見されますが、ご愛敬でしょうか。
しようが無いので、マフラーを取付ける際にラバーマウントとフレームでワッシャを挟んで、ボルト挿入しながら落ちてくるワッシャをキャッチするスーパーテクニックで切り抜けます。
ところでここのM12ボルトは青いネジロック剤が付いていましたが、当然、復元するときは青いネジロック剤を塗布するようサービスマニュアルでは指示があります。
私の場合、マフラーを外すことがたまにあるのでネジロック剤は使っていません。それは自己責任になりますので、正しくは塗布ということだけお伝えしておきます。
次にマフラー中央左側をM8ボルトで仮締めします。
車体側のゴムダンパーにカラーがチャンと入っているか確認します。
このカラーは鍔が付いていて右から左に通すタイプです。逆向きだとダンパーがマフラーに当たる等、ダンパー機能が損なわれますので注意が必要です。
またM8ボルトの根元にワッシャが入りますのでここも注意が必要です。
これで仮締付が全部終わりましたので、本締めしていきます。順番は特にありませんが重要な順がベターです。なのでメインのラバーマウント、前側のクランプ、中央左のラバーマウントの順で締めます。
締付トルクはメインのラバーマウントが60Nm、残りの2か所は同じで20Nmとなります。
まとめます
ご覧のようにこんな簡単な部品の脱着にも色々な整備ポイントがあると思います。
面倒ですが一つ一つ注意深く観察してやっていくと、部品が訴えかけてくる差異や設計者の意図、苦心が見えてきますので面白いです。
最後までご覧下さいまして、ありがとう御座いました。
次回の記事でお会いしましょう!それでは、また!
コメント